日々の生活に欠かせない「光と色」、地球に降りそそいでいるこの自然の恵みに注目し、
地球人として環境や命のためにできることを考えます。
色は視覚だけではなく心理や感情を刺激し、私たちの暮らしに密着しています。
自然の恵みから心のバランスを図る手軽で効果の高い色彩システムを開発、そのナチュラルな効果により人の暮らしに潤いを与える取り組みを提案します。
色彩を軸に文化の振興を促進し実践しながら、私たちの地球を大切に生活豊かにしていける活動に取り組み、色彩心理・メイクアップ・スタイリング・美容・アンチエイジング各種講師の育成教育を行っています。
NICA 日本イリスカラー®協会の役員
竹内洋子(たけうちひろこ)
株式会社イリス 代表取締役
サロン・デ・イリス 代表
– イリスカラー専門スクール –
NICA 日本イリスカラー協会 会長
イリスカラーセラピー開発者
湘南生まれ湘南育ち。
幼い頃から、カラフルなものや綺麗なものに興味を持って育つ。
現在カラーを軸に仕事を展開。
サロンでは、パーソナルカラー診断やカラーセラピー・イメージアップコンサルティング・カラーアナリスト・セラピスト養成を行う。
また、テレビ・ラジオ・雑誌等メディアでも活躍中。
2008年独自の発想で、天然石入りカラーボトルを使用したイリスカラーセラピーシステムを開発。
登録商法取得・特許出願中。
富田隆(とみたたかし)
心理学者
元駒沢女子大学教授
NICA 日本イリスカラー協会 理事
専門は「認知心理学」。
その領域にとどまらず、「恋愛」「性」「流行」「夢」「超常現象」「文化現象」「教育問題」「ストレス」「やる気」など、あらゆる領域で人間の深層心理に鋭く明解な分析を加えている。
TV、ラジオ、雑誌、新聞、講演など各メディアで活躍中。
著書に『わたしのまわりの心理学』(大和書房)、『「ハナシ上手」になる心理術』(角川書店)など多数。
理事 富田隆よりメッセージ
琥珀色の黄昏 ー暗号としての色彩ー
・夕暮れとバーボン
1959年秋の夕暮れ。マイアミ空港のバーカウンターで物思いに耽る男。バーボンのオンザロックはすでにダブルで3杯目。琥珀色の液体に浮かんだ氷が夕焼けに輝き、黄金の光を放つ。夕日が海へと沈むほんの数刻、男は生と死に思いを馳せる。イアン・フレミングの描くジェイムス・ボンドは、冷酷な殺し屋であると同時に内省的な哲学者でもある。彼は、数時間前に自分が殺すはめになった無法者の人生を想像し、命の重さとはかなさを思う。こんな時はシャンパンでもカンパリソーダでもない。琥珀色に輝くウイスキーだ。刻は黄昏、生と死が交錯する「逢魔が時」。象徴とはそういうものだ。人生は象徴という暗号に満たされており、この世にあふれる色彩もまたそうした暗号に他ならない。
・太陽神と地母神
ボンドのバーボンも、生理学的には大脳皮質を麻痺させ苦痛をやわらげるアルコールに過ぎない。しかし、心理学的にみればそれは琥珀色の、時には黄金に輝く色彩象徴だ。古来より琥珀や黄金は太陽の色であり、これを飲み干すことは、今まさに沈もうとする太陽の力を取り入れる呪術でもある。太陽神アポロは明晰な理性そのものであり、カミール・パーリア風に言うなら、泥と湿気、性と暴力が潜む密林の暗闇に文明の光を当て、秩序と美をもたらす。しかし皮肉なことに、ウイスキーの琥珀色は、アポロンと対極にある大地母神のもとへと誘うこともある。母なる大地はその奥に冥界を抱え、全て飲み込む。大地から生まれた褐色の火の酒はタナトス(死と破壊の本能)を活性化させ、胎内回帰願望を刺激し、母の国を希求させる。
・あなたの内に潜む色の呪力
あなたがある時はバラ色のワインに魅かれ、ある時は空色のカクテルに魅かれるのには理由がある。太古より人類が宝石を求め、呪術に用いた背景には「色」に対する素朴な信仰があった。我々は、生まれながらにして色彩に感動し響き合う力を備えている。それは脳や神経系の特性に根ざすものであり、ユングの言葉を借りるなら集合無意識の世界に内在する「アーキタイプ(元型)」の一種なのだ。我々は皆、特定の色彩に対して同じ認識傾向を共有している。それらが色彩への信仰を生み、神話を生みだした。だから、色彩という暗号の謎を解く旅は、実はあなた自身の心の旅であり、内なるパワーを目覚めさせる旅でもある。そして、色彩を心理学的に研究することはNICAの目的のひとつ。色彩と心のミステリーツアーにあなたも参加しませんか?
イリスカラー協会 理事 精神科医
「色とこころ」
色彩が人の心に与える影響はさまざまですが、また、かなりな程度に万国共通でもあります。この稿では、2002年に製作され、世界的に大ヒットした映画「HERO」を題材に取り上げ、色とこころの関係を探ってみたいと思います。この映画の舞台は紀元前200年の中国、7つの国が争う戦乱の世界です。その中でも、もっとも強大な国、秦の国王(チェン・ダオミン)のもとに、ひとりの若者(ジェット・リー)が現れます。彼は国王を狙う3人の暗殺者(長空、残剣、飛雪)を打ち取った功績で、国王に拝謁することができたのです。国王に、どうやって彼らを倒したかを尋ねられた若者は、これまでの経緯を語り始めます。長空(トニー・レオン)と、彼を慕う美しい侍女如月(チェン・ツィイー)との微妙な関係。そして、残剣と飛雪(マギー・チェン)の愛憎相半ばする激しい関係を利用して、彼らを打ち取ったこと。しかし、この若者の話を聞いた泰の大王は言います。「お前の話は間違っている」と。残剣と飛雪は3年前、大王を狙って泰の宮殿に乱入したことがあり、その時、大王は自ら剣を取り、残剣、飛雪と戦っていたので。その時の経験を元に、大王は、残剣と飛雪が、愛と憎しみといった激しい個人的感情で動かされるような弱い人間ではないと知っていました。大王は、残剣、飛雪と若者との間にあった出来事は本当はこうであったはずだと話し始めます。ところが、大王の話を聞き終わり、次に若者の口から出たのは、これまでの2つの話と全く異なる、驚くべき内容でした・・・。どうでしょうか? こうやってあらすじだけを書いていくと、筋立てが複雑すぎて、どんな話だかこんがらがって来ませんか?しかし、監督のチャン・イーモウと、衣装デザイナーのワダ・エミは、色彩を利用して、この複雑なストーリーを、みごとにわかりやすく、そしてほれぼれするくらいに美しく作り上げたのです。最初に若者が泰の宮殿に参上し、大王に拝謁する場面は厳粛な黒。若者が最初に語る物語は、イントロとなる長空との戦いはグレー。そして、残剣、如月、飛雪が登場する激しい愛と憎しみの場面は赤が使われています。その中でも、残剣の亡き後、飛雪と如月が戦う場面は、美しい黄色の落葉の中を、鮮やかな赤い服をまとった二人の女性が舞い、非常に印象的です。これに対して、泰の大王が回想する、3年前の残剣と飛雪の宮殿乱入事件は、遠い記憶を象徴する緑が使われています。次に大王が語る残剣と飛雪の物語は、青謐さをたたえた青で描かれています。そして2度目に若者が語った内容は、真実を象徴する白が用いられます。最後に舞台は秦の宮殿に戻り、映画は再び厳粛な黒でしめくくられます。こうやってさまざまな色を効果的に用いることで、この映画は、複雑なストーリーを持ち、古代中国が舞台で、中国語で語られるといったハンディキャップを乗り越え、観客の心にダイレクトに響くものとなり、世界中でヒットしました。2004年にアメリカで上映されたときには、並みいるアメリカ映画を押しのけ、初登場で全米一位の偉業を成し遂げています。この映画は、言葉の壁を超えて、人のこころに直接働きかけるという、色彩のもつ力を最大限に発揮した素晴らし例だと思います。そして、こういうかたちでの色彩を利用することを考えついたのが、京都生まれのワダ・エミさんだったということに、僕は同じ日本人として非常にうれしく思います。皆さんも機会がありましたら、せひこの「HERO」をご覧になってみてください。そして一度観たことのあるかたも、ぜひもう一度観なおしていただき、色彩の持つ素晴らしパワーを感じていただければ幸いです。